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エンジンルーム
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マーチ
2010-09-02

採点表

8
動力性能
ワイドギア比のCVTでレスポンス良好。
8
操縦安定性
しなやかさのあるコーナリング。
9
パッケージング
運転しやすさと居住性を高バランス。
8
安全性能
全車標準の装備が多くそろう。
10
環境性能
見えない部分の新技術が盛り沢山。
8
総合評価
価値観まで新しい先進コンパクト。

キーワードはフレンドリー&エコ。

 1982年にデビューして以来、誰もが知る国民的コンパクトカーの地位を築いてきたニッサン・マーチが4代目へとフルモデルチェンジした。一見すると、先代からのキープコンセプトのようだが、「これまでのマーチを進化させたのではなく、まったく新しいコンパクトカーを創った」と開発者が言うように、実はその中身や役割は大変身を遂げている。
 新開発の1.2L・直3エンジン、コンパクトカー初採用の副変速機付きCVT、一部グレードにはアイドリングストップを採用。シャシも新開発のVプラットフォームとなり、これらを結集したことで最高26.0km/Lという低燃費を叩きだした。また大きく変わったのは、製造地がタイになり、そこから日本をはじめ欧州、中東、アジアなど世界へ運ばれるということ。乗り味のセッティングなどは販売地域に合わせて調整し、日本仕様では街中での乗り心地を重視したという。
 この他、毎日をちょっと楽しくする、ラクに便利にする装備も投入している新型マーチ。「フレンドリー」と「エコ」を武器に、一歩先ゆくコンパクト像を見せてくれている。

試乗データ
レポート日:2010-09-02試乗日:2010-07-21
レポート:まるも亜希子試乗地:神奈川県・横浜周辺
撮影:井上雅行天候:晴れ

全長3.8m。引き継がれた絶妙のサイズ感。

 一人で乗って大きすぎず、みんなで乗って小さすぎない、絶妙なサイズ感がマーチの持ち味だったが、それは新型マーチにも受け継がれている。全長を3.8mにとどめながら、後席に大人の男性が乗っても、足がつっかえない程度の室内空間だ。エクステリアでは、丸いヘッドランプとアーチを描くサイドウインドーのラインが、ほんのりとマーチらしさを残しているが、全体としては「カワイイ」という印象が薄まり、どことなく頼もしさやユニセックスな雰囲気が漂っている。
 その陰には、やはりグローバルカーとして様々な国や民族の目を意識したことの他に、空力性能や振動・騒音の低減といった機能面の追究がある。リアエンドでぐっと持ち上がるルーフ形状や、ブーメラン型にデザインされた溝などは、その代表例だ。インパネにも、ツインバブル形状というユニークな曲線が描かれ、それが温かみのある包まれ感を演出する。
 シートの縫製などにはやや甘さが見られるし、シートアレンジの際にも段差が目立つなど、割り切った部分が見られるのも確か。でも、こうしたデザインと機能の両立にチャレンジしたことが、新型マーチの特徴といえる。


エンジンの力強さをうまく引き出す新型CVT。

 目に見えない部分で、新技術が盛り沢山に投入された新型マーチ。エンジンとミッションは、全グレード同じで1.2L・直3+副変速機付きCVT。ベースグレードの12Sを除く2WDにアイドリングストップが付く。試乗したのはトップグレードの12Gで、プッシュボタンでエンジンを始動すると、これまでの3気筒エンジンの印象を覆す、落ち着いたアイドリングにまず感心した。発進のスムーズさ、力強さも1.5L並みに感じるほど十分なものだ。
 エンジンが暖まり、速度が20.0km/hを越えるとアイドリングストップの準備が整う。エンジン停止の間はエアコンが送風になってしまうものの、停止・再始動とも違和感は最小限で、メーター内に節約燃料が表示されるので、よりリアルにエコを実感できる。また試乗日は猛暑だったが、ブレーキペダルを踏んだままでも、ステアリングを動かすと任意にエンジンが始動できる仕組みなので、大汗をかくこともなかった。
 高速道路では、CVTの恩恵か加減速のレスポンスが良く、キビキビと走れる。追い越しをかけるときなどは、それなりにエンジンノイズは高くなるが、グイグイとした力強い加速感も味わえる。


ストロークアップでしなやかになった足まわり。

 高速道路での車線変更や分岐のループなどで実感したのが、足まわりのしなやかさと適度に手応えのあるステアフィールだ。これはVプラットフォームと呼ばれるフロアパネルからサスペンションまで新設計として、軽量化と剛性アップを図ったことや、フロントサスペンションのストローク量を先代比で15%アップしたことなどが効果を発揮しているのだろう。
 また、ステアリング系は制御技術が熟成されてきて、しっかりと狙った剛性感が出せたのだという。高速域での直進時の接地感はやや薄い気がするが、不安定というほどではない。乗り味としては、剛性感と乗り心地のバランスがとれている印象だ。
 街中へ戻って改めて走ってみると、目線にゴチャゴチャしたスイッチなどが入らず、またベルトラインが低めの設定ということもあり、とてもスッキリとした視界が得られている。先代のようにヘッドランプが盛り上がって目印になるというような凝った演出はないが、それでも十分に車幅感覚はつかみやすい。交差点での右折待ち、歩行者待ちの時や、ノロノロ渋滞ではアイドリングストップが作動せず、モタつくことがないのも良かった。


これまで後回しにされがちだった機能を標準装備。

 ユーティリティに関しては、リアのUVカットガラスやインテリジェントキー、フルオートエアコン、カーテンエアバッグといった装備はトップグレードのみ標準で、その他には付かないという割り切りぶり。リアのカップホルダーは1個だし、6対4分割の後席もトップグレード以外はオプション設定だ。
 ただ、運転席のシートリフターやチルトステアリング、ABSやEBDといった、これまでのコンパクトカーで後回しにされがちだった機能や装備を、ベースグレードから標準装備としたことは評価できる。トップグレードのみだが、車庫入れ時にタイヤの向きとステアリングの切れ角をデジタル表示で教えてくれる、タイヤアングルインジケーターという機能は、運転に不慣れな女性を想ってのもの。
 やはりこうした部分には、免許取り立てのビギナーが多く乗ることも想定している、マーチの優しさを感じることができた。リア中央席のヘッドレストが設定ナシなのは解せないが、飛び道具的な装備で売る時のキャッチーさを優先するのではなく、真の乗りやすさ、安心感や便利さ、経済性といった要素をモノにした、とても潔いコンパクトカーの登場である。

問い合わせ先

日産自動車(株)お客様相談室 0120-315-232
http://www.nissan.co.jp/

主要諸元 SPEC DATA

グレード名1.2G
全長×全幅×全高(mm)3780 x 1665 x 1515
ホイールベース(mm)2450
トレッド 前/後(mm)1470/1475
車両重量(kg)960
種類直3DOHC
総排気量(cc)1198
最高出力(kw[ps] / rpm)58(79)/6000
最大トルク(Nm[kgm] / rpm)106(10.8)/4400
駆動方式FF
トランスミッションCVT
サスペンション 前 ストラット
サスペンション 後 トーションビーム
ブレーキ 前/後Vディスク/リーディングトレーリング
タイヤサイズ165/70R14
車両価格(税込み・単位=万円)146.895