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C3
2010-08-10

採点表

6
動力性能
洗練されたが、4速ATは印象&燃費の面で厳しい。
8
操縦安定性
ホンワカとした味わいはいかにもフランス車。
9
パッケージング
サンルームにいるようなゼニスウインドウーの開放感。
7
安全性能
エントリーモデルにも安全装備を満載して欲しかった。
7
環境性能
EURO6対応は高評価。燃費はもうひと踏ん張り。
7
総合評価
C3でしか味わえない個性が最大の美点。

2年半ぶりに復活したC3。期待以上の変化に感動。

 「お待たせしました~!」って感じで、シトロエンの最拡販車種C3が、2002年以来8年ぶりのフルモデルチェンジを行なった。というよりも、日本市場においては、先代モデルの販売が2007年末に終了していたために、2年半ぶりの復活と言った方がいいかもしれない。
 コンパクトカーの中でも異彩を放っていたC3だけに、心待ちにしていたファンも多いと思う。私も、今度はいったいどんな手で? と興味津々だったのだが、その変化は期待以上。しかも今回は兄弟車となるDS3と同時に日本上陸ということで、デビュー早々注目度が高い様子なのだ。
 実はこの2台、開発責任者が同じとのこと。そのため思い切ってそれぞれの個性を際立たせることができたらしい。今年の日本コンパクトカー市場は、国産車を含めモデルチェンジ目白押しといった感じなのだが、これならば十分個性をアピールできるのは間違いないだろう。昨年90周年を迎え、ロゴをチェンジしたり、より積極的な戦略を打ち出したりと、さまざまな展開をしているシトロエンだが、その象徴でもあるダブルシェブロンのニューロゴが装着されるのはこのC3から。新たなる歴史の始まりなのだ。

試乗データ
レポート日:2010-08-10試乗日:2010-05-28
レポート:竹岡 圭試乗地:神奈川県・横浜周辺
撮影:井上雅行天候:晴れ

全長延長分はキャビンスペースの拡大に反映。

 全体的な印象としては、丸みを帯びたラウンドフォルムは先代を踏襲しているものの、全高が10mm低くなったためか背が高くコロンと丸いクルマという印象よりは、伸びやかな楕円形スタイルになった。
 これには全長が105mm伸ばされたのも影響しているとは思うが、Bセグメントの手頃なクルマであることには変わりない。大きくなった分は、きちんと室内の広さに生かされていて、前席はグローブボックスの張り出しを抑えて+8cm、後席も前席背もたれの形状やシートポジションを工夫することにより、足元のスペースが+3cm。外から見るよりもかなり広々としていて、このクラスではトップと言っていい、ゆとりある空間となっているのは嬉しい。
 ラゲッジルームもかなり広い。容量は300リットルということだが、深さがあるので相当嵩ばる荷物も呑み込んでくれるハズだ。また、インテリアも質感が高まった。柔らかな風合いに仕上げられたダッシュボード、ひとつひとつが凝ったデザインになっているスイッチ類、3連メーターの上をアーチ状のフローティングバイザーが覆い、光が漏れるユニークなデザインなど、いかにもシトロエンらしい。


どんなに改良しても旧態依然の4速ATでは限界がある。

 C3とC3エクスクルーシブの2グレード設定だが、パワートレーンは1.6LNAエンジン+4速ATという、プジョーなどでもすでにお馴染みの組み合わせ1パターンのみ。運転支援的な装備としては、エクスクルーシブにESP、バックソナー、自動防眩ルームミラーなどが標準装備となっている。でも今の時代、ベーシックグレードにESPの装備がないのは、少々残念。
 さて、やはり気になるのはトランスミッション。ライバル車と比較すると、4速ATというスペックはどうしても気になってしまう。しかもこの4速AT、AL4という名前のプジョー/シトロエン内製のトランスミッションで、日本の道路事情にはそぐわないと以前からあまり評判がよろしくない。
 ただし、シフトスケジュールのマッピングなどはかなり改善されていて、高回転域までずーっと引っ張ることが少なくなり、早めにシフトアップするようになったし、60km/hくらいで2つのギアを行ったり来たりするハンチングも、だいぶなくなった。とはいえ、やはり4速は4速なので、燃費の面を考えるとどうしてもハンデがあるのは否めない。パワー的に向上しているだけに惜しいところだ。


フワッとしているのに安定感が高い不思議な操案性。

 シトロエンと言えば、乗り心地命! と言っても過言ではない。そういうイメージがしっかりと染みついているブランドなのだ。C5やC6のようなハイドロサスペンションは採用されていないものの、なんとなくそれらを彷彿とさせるしなやかなホンワカムードの乗り心地になっているところは、さすがシトロエン! と脱帽するばかり。質感の高まったインテリアの中、しっかりとストロークがあるシートに包まれていると、気持までホンワカしてくる。これが、シトロエンマジックなのだろう。
 しかしフワフワと落ち着かないということはなく、電動パワステとなったステアフィールも重すぎず軽すぎずで、高速域でも安定感を保ちつつ安心して身を任せられる感じ。コーナリングでも適度にロールしながら、ググッと路面のフィーリングが伝わってくるような設定で、クルマの動き的にも精神的にも安定感が高い。これならばシチュエーションを問わず、いつでもどこでも笑顔を保ちながら走りまわれそうだ。またこのクラスのフランス車にしては珍しく? 日本人女性の体格でも適切なドライビングポジションが取れるのも、安心感を高めているひとつのポイントかもしれない。


風の吹かないオープンカー感覚は一見の価値あり。

 さて、美味しいところは最後に取っとく! ではないが、C3のキャラクターを最も強く印象づけているゼニスフロントウインドーの話をしよう。 
 これは前後長1350mm、左右幅1430mmという、巨大なフロントガラスのことだ。ここまで来るとフロントガラスというよりも全面窓、屋根までガラス、全面サンルーム、透明な観覧車やエレベーター、風の吹かないオープンカーといった、変わった乗り物感覚に近いかもしれない。
 眩しくないの? 暑くないの? なんて心配になるが、ビヨーンと前に下がってくるスライディングサンバイザーを下ろせばOK。ただそうなると、せっかくの垂直方向108度! の視界が、28度と普通のクルマになってしまって正直面白くない。ガラスの上部250mmの範囲には、熱の伝導率が通常のティンテッドガラスの5分の1以下に抑えられているスーパーティンテッド加工が施されているし、紫外線の透過率も12分の1以下と日焼けの心配も少ないので、どうしてもガマンできないとき以外はなるべく開けていたいもの。ちなみに日本仕様は全グレード標準装備だ。

問い合わせ先

シトロエンコール 0120-55-4106
http://www.citroen.jp/

主要諸元 SPEC DATA

グレード名
全長×全幅×全高(mm)3955 x 1730 x 1530
ホイールベース(mm)2465
トレッド 前/後(mm)1465/1470
車両重量(kg)1190
種類直4DOHC
総排気量(cc)1598
最高出力(kw[ps] / rpm)88(120)/6000
最大トルク(Nm[kgm] / rpm)160(16.3)/4250
駆動方式FF
トランスミッション4速AT
サスペンション 前 マクファーソンストラット
サスペンション 後 トーションビーム
ブレーキ 前/後Vディスク/ディスク
タイヤサイズ195/55R16
車両価格(税込み・単位=万円)209.0