MEDIALOG

走り
その他
その他
その他
その他
↑画像をクリックすると拡大版とキャプションがご覧になれます。

535i Gran Turismo
2010-06-28

採点表

7
動力性能
BMWの直6としてはややスムーズさに欠ける。
8
操縦安定性
大きさ/重さを感じさせない軽やかな走りっぷり。
8
パッケージング
相応に大きいので当然だが、広く見晴らし良く快適。
9
安全性能
装備の充実度は満点。ただし後方視界はいまいち。
8
環境性能
最新のパワーユニットは環境性能にも配慮している。
7
総合評価
勇気の居る選択かも知れないが作りは確か。

BMWも人気の5ドアハッチバックに挑戦!

 欧州で大型/高級5ドアハッチが増殖中だ。昨年登場したポルシェ・パナメー ラは同社初の4ドアスポーツとして話題になったが、実はリアゲートを備えた ハッチバック。
 一方アウディもクーペのA5を5ドア化したスポーツバックを新年 早々日本にも導入している。セダンやワゴンといった古い歴史のある定番的ボ ディの一方でSUVが脚光を浴びるなど、新しい物を求めるユーザーも多い。ここ に来て続々と登場して来ている大型/高級5ドアは、そうした先鋭的なカスタ マーを取り込むモデルと言える。
 で、BMWが新たにラインアップに加えたのが5シリーズのグランツーリスモ。1565mmとちょっと高い上背の5ドアハッチバック だ。SUV風味を持たせた新手のクロスオーバーとも見えるが駆動はFR。クーペと SUVのクロスオーバーであるX6を揃えるBMWだけに、その辺の作り分けはしっかり やっている。バリエーションは共に8速ATと組み合わされる4.4L V8ターボの550i と、3.0L直6ターボの535iの2種。今回は新世代のパワーユニットとなる535iを中心に試した。

試乗データ
レポート日:2010-06-28試乗日:2010-03-01
レポート:石川芳雄試乗地:神奈川県・横浜周辺
撮影:玉井 充天候:

新鮮感覚のドライビングポジション。

 フロントマスクは新型の5シリーズセダンと多くの共通項を持っているが、全 長/全幅は5000mm×1900mmとかなり大柄。前記した全高も含めてセダンよりもひと 回り大きい。
 それもそのはずで、グランツーリスモの基本骨格は5ではなく7シ リーズがベース。3070mmのホイールベースがその証しだ。2トンオーバーの重量 級で車高も高いため、より余裕のあるプラットフォームを選んだという事だろ う。
 ちょっと高めのドライバーズシートに乗り込むと、ゆったりとしたシートポジ ジョンや幅のあるフロアコンソールなど、やはりサイズなりの余裕を感じる。そ れにしても室内の雰囲気はまんまBMWのサルーンなのに、お尻と地面の距離が大 きいこの感覚は新鮮だ。X5あたりだと明らかに高いのでSUVを嫌でも意識する が、グランツーリスモは微妙な高さのアイポイントなのである。
 左右独立して スライド可能なリアシートも足下/肩まわりともにゆったりしており寛げる。前/ 後席とも見晴らしがよく、乗員全てが移動を楽しめる。グランツーリスモという 名前もこの辺が元なのかも知れない。


ターボにツインスクロールタイプを採用。

 搭載エンジンは3.0の直噴ターボ。306ps、400Nmのパワースペックはすでに 335iや135iに搭載されるパララルツインターボとほぼ同じだが、実は新設計でこ ちらが採用するのはツインスクロールタイプのシングルターボ。もちろんガソリ ン直噴で、しかも動弁系はバルブトロニックという最先端のパワーユニットだ。
  最大トルクを1200~5000rpmのワイドレンジで発生するフラットな特性はさらに強化され、回転を上げずとも速度が乗るし、効率の良い8速ATや、減速時に重点的にオルタネーターを駆動するエネルギー回生システムなどの助けもあって10・15モードで9.4km/Lの燃費を達成している。
 車重が2020kgもあるせいか、踏み始めの最初の瞬間の反応はさほど鋭くはないものの、その後即座に豊かなトルクが沸き上がり気持ちのよい伸びを楽しませる。8速ATのシフトアップもリズミカルかつスムーズ。もちろん550iはさらに力強くダイナミックだが、535iもパワー面の不足はまったく無い。ただ、6800rpmから始まるレブリミットに向けて引っ張って行くと、5000回転を過ぎたあたりから回転フィールが若干ザラついて来るのが気になった。


リニアなロール感はBMWの真骨頂。

 シャシ性能はさすがBMW。重心位置が高いにも関わらずステアリングに対する挙動は俊敏だし、ロール感覚も実にリニアで安心感がある。これは後輪操舵も行なうインテグレーテッド・アクティブステアリングの効能もあるのだろう。
 ただ、530iの中から低速域でのアクティブステアの挙動は、予想していたラインよりも内側に切れ込む感じでちょっと違和感がある。同じシステムを採用する7シリーズではこれほど強くは感じなかったし、グランツーリスモ同士でも550iの方が自然だ。前後の重量配分を含む車重の違いが関係しているのだろうか。
 さらに、スロットル特性やシフトスケジュール、パワーステなどをモード設定できるダイナミック・ドライビング・コントロールも備えている。オプショ(550i には標準)のアダプティブ・ドライブも加えればサスのダンピングを含めコンフォート・ノーマル・ダイナミック・ダイナミックプラスの4モード選択が可能。もっとも550iで試したところ、コンフォートモードは押さえが緩くなり、逆に乗り心地がバタついた。ならば、535iの固定ダンパーの方が迷いがない。


期待したいBMWのチャレンジ精神。

 グランツーリスモはかなり冒険的なクルマだ。少なくともBMWに定番高級車としての安心感と、スポーティという魅力を求める人には難解な存在だろう。
 878万円を支払ってその冒険をする人がどれだけ居るかにこのクルマの成否は掛かっているわけだが、新しい物に魅力を感じる人は常に要るし、その数が増えれば認知度は加速度的に上がって来るに違いない。
 使い勝手にもユニークな部分は多く、中でもツインテールゲートは注目のアイテムとなりそうだ。リアゲート中央のボタンを押すと短いリアノッチ部分だけが開き、右側のボタンを押すとゲート全体が電動で開くシステムである。
 後席のバックレストは40対20対40の3分割式で、スライド機網も備わり荷室と居室の割り振りを変えられる。後席と背面ボードの折り畳みが一度に出来ないのは不便に感じたが、定員乗車で440L、最大1700Lの荷室は重宝だ。
 寝たリアウインドーとハイデッキのせいで後方視界は良くないが、サイズから想像するほど巨大に感じないのはほどほどの高さによるものか。その意味でもSUVはツーマッチと思う人から注目されそうな新しいBMWである。

問い合わせ先

BMWカスタマー・センター 0120-55-3578
http://www.bmw.co.jp/

主要諸元 SPEC DATA

グレード名
全長×全幅×全高(mm)5000 x 1900 x 1565
ホイールベース(mm)3070
トレッド 前/後(mm)1610/1655
車両重量(kg)2020
種類直6DOHC
総排気量(cc)2979
最高出力(kw[ps] / rpm)225(306)/500
最大トルク(Nm[kgm] / rpm)400(40.8)/1200-5000
駆動方式FR
トランスミッション8速AT
サスペンション 前 ダブルウィッシュボーン
サスペンション 後 インテグラル・アーム
ブレーキ 前/後Vディスク/Vディスク
タイヤサイズ245/50R18
車両価格(税込み・単位=万円)878.0