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R8スパイダー(欧州仕様)
2010-06-07

採点表

9
動力性能
全域で有り余るパワーは格別。
10
操縦安定性
サルーンのような安定性に脱帽。
8
パッケージング
後方視界を含め、諸々工夫が見える。
9
安全性能
頼りになるアクティブセーフティ系電子デバイス。
7
環境性能
直噴で省燃費にも長ける。
9
総合評価
単なるスーパーカーではない存在意義と知的さを感じる。

搭載エンジンはV10 525ps。

 イタリアンエキゾチックスーパーカーとはひと味違うアウディR8シリーズ。これまでも、幾度かサーキットで実力を試してきたが、懐の深いその走りはまさにドイツ車的。
 そんな躾けが行き届いたスーパースポーツカーにオープントップが追加された。日本上陸は秋まで待たなくてはならないが、すでに今年2月から国内9カ所のR8ディーラーで予約注文を受け付けている。その意味では、このレポートが屋根開きスーパースポーツの購入を考えている方の参考になればとも思う。
 その概要だが、ベースとなるのは5.2 FSI quattroで、4.2 FSI quattroはラインナップされない。つまり、搭載されるエンジンは525psを発揮するV10のみという設定。0-100km/hを4.1秒でこなし、313km/hの最高速度は文句のつけようがない。
 トップは最近の例に漏れずファブリックを採用する。「例に漏れず……」としたのは、去年のA5カブリオレと同じ方式だからだ。メタルトップよりもソフトトップの方がボディの軽量化と低重心化に適している、というのがその理由。事実、R8スパイダーのトップはおよそ30kgにとどまる。
 

試乗データ
レポート日:2010-06-07試乗日:2010-02-26
レポート:九島辰也試乗地:フランス
撮影:アウディジャパン天候:

マグネシウム製一体型エンジンフレームを採用。

 センセーショナルなR8クーペの登場からずいぶん経った気がするが、R8スパイダーはじつはクーペモデルと同じタイミングでデザインされ、設計された。販売開始がずれたのはマーケティング上の戦略で、モデルサイクルの長いこういったスペシャルカーに新鮮な話題を提供し続けるのが目的だ。
 つまり、後から屋根を慌てて取っ払ったのではなく、最初から計画されていた。そのため、屋根がなくともアウディ・スペース・フレーム(ASF)からなるフレームにネガティブ要素は一切ない。左右のシルやセンタートンネル、リアウォール、フロアパン、各ピラーの補強はすべて計算尽く。しかも、ホワイトボディ(ボディ単体)の重量はわずか216kgしかない。この数字はクーペ+6kgというから恐れ入る。超軽量マグネシウム製一体型エンジンフレームは、スパイダー専用に開発された。
 トップは耐久性のあるテキスタイルファブリックのアウタースキンとヘッドライナーから構成される。開けた時の開放感もそうだが、閉めた時の遮音性が優れているのがウリ。そして、油圧式で開閉されるそれは、50km/h以下であれば操作可能となる。


役に立つ独立開閉式リアウインドー。

 トップがエンジン上に収納されるため、クーペにあるガラス製のエンジンカバーがない。フェラーリやランボルギーニも取り入れるガラスカバーはすばらしい演出である。整然と並ぶシリンダーはまさに芸術品で、ガラスカバーはショーケースの役目を果たしていた。
 もちろん、物理的にそれができないのはよくわかる。が、そこをなんとかしてくれるのがいまのアウディのような気がする。大型の収納カバーはカーボン製で、アーチ型の2つのカウルもかっこいいのだが、少し残念でならない。
 オープン時には垂直に立つ熱線入りのリアウィンドーが役に立つ。これはスイッチひとつでバルクヘッド内に収納できる仕組みで、走行時は立ててリアからの風の巻き込みを防ぎ、クローズ時はベンチレーションとして使える。あえて幌をしたままリアガラスを下げて走ると、サンルーフとはまた違った開放感を得られた。
 ちなみに、バルクヘッド内にはこのガラスウィンドウの他に、横転時に頭部を保護するロールバーのようなプレートが2枚装備される。最近では一般的になってきたオープン用保安グッズではあるが、瞬時に飛び出す機構のため、スタイリングを邪魔しないのがいい。


フォルムからから想像できな乗り心地のよさ。

 パワートレーンは冒頭に記したように、5.2リッターV10直噴ユニットを搭載する。トランスミッションは6速Rトロニックでステアリング上にパドルシフトが付く。試乗車には6速MTも用意されていたが、日本への導入はない。駆動方式はクワトロフルタイム4WD。
 といったプロファイルで、実際に走らせてみた。まず、感じたのは乗り心地のよさだ。特に機械的にダンパーを使ったスポーツサスペンションは思いのほか気持ちがいい。段差ではしなやかさの残る接地感で、ゴツゴツしたことはほとんどない。このスタイリングでのこの乗り心地は快適!と言い切っていいだろう。
 逆に、アウディ・マグネティックライド装着車の方が全般的に路面をダイレクトに感知し、細かいピッチングを発生させた。この電磁式で瞬時に設定が変わるシステムは、1000分の1秒単位で路面を読むのだが、今回は相対的に硬さが目立った。となれば、週末サーキットランを楽しむ人はこちらということになる。
 


ぜひ味って欲しい秀逸のハンドリング。

 個人的にオープンモータリングの醍醐味はエンジンサウンドのような気がしてならない。トップを開け、エンジンをスタートしたとき、まず感じるのがそのひと“うなり”である。
 その点でR8スパイダーは期待通りの音を奏でた。ブリッピングをはじめ、瞬時にアクセルに反応するサウンドはじつに気持ちがいい。V10という非日常的なユニットを背負っている実感を得られる。そしてタコメーターの針が3500回転を過ぎたあたりから格段と鋭さが増す。フラップが開いた瞬間、ドライバーはアドレナリンを分泌すること間違いない。
 また、車重が増えたことでハンドリングが変わってしまっては、この手のクルマは意味がなくなる。軽快な走りなしでは単なるスポーツカーのコスプレだ。が、このR8スパイダーはハンドリングがいいばかりか、すべてにおいて扱いやすい。今回の試乗コースは高速道路もそれなりだったが、市街地での走りが多かった。つまり、存分に扱いやすさを体感したのである。このスタイリングでこの気軽さは、けっこう驚きであろう。

問い合わせ先

アウディ コミュニケーションセンター 0120-598106
http://www.audi.co.jp/

主要諸元 SPEC DATA

グレード名
全長×全幅×全高(mm)4434 x 1904 x 1244
ホイールベース(mm)2650
トレッド 前/後(mm)1638/1595
車両重量(kg)1725
種類V10DOHC
総排気量(cc)5204
最高出力(kw[ps] / rpm)386(525)/8000
最大トルク(Nm[kgm] / rpm)530(54)/6500
駆動方式4WD
トランスミッション6速AMT
サスペンション 前 ダブルウィッシュボーン
サスペンション 後 ダブルウィッシュボーン
ブレーキ 前/後Vディスク/Vディスク
タイヤサイズ235/35ZR19 (前)・ 295/30ZR19(後)
車両価格(税込み・単位=万円)2250