XJ(欧州仕様)2010-04-29

採点表
ビッグチェンジを選択したジャガー。
2007年のデトロイトモーターショーで発表されたコンセプトカーC-XF。次期Sタイプとして発表され、その後XFとして市場導入されたのはご承知のとおり。
C-XFの写真を見るとわかるが、フロントデザインは今回紹介する新型XJそのもの。細く切れ上がったヘッドライト、矛のように垂直にそびえるグリルはまさにそれである。
と、ここで考えられるのは、デザイン・ディレクター、イアン・カラム氏の思惑だ。彼はこの時点でまったく新しいジャガーデザインに対する市場の反応を見ていたのではないかと思われる。つまり、C-XFはXFのコンセプトカーであると同時に、ジャガーブランドの新コンセプトも兼ねていたということだ。
そしてその評価は見事に高いものであった。「これがジャガー?」という声もあっただろうが、それくらい大胆に変えるのが彼の使命であることはいうまでもない。ライバル車が次々と進化する中、ジャガーはここ何十年もの間過去のデザインワークを引きずってきたからだ。
XFは、ジャガーのメイン市場である北米で高い評価を得ている。となれば、このXJも見通しは明るい、といってよさそうだ。
| レポート日:2010-04-29 | 試乗日:2010-03-13 |
| レポート:九島辰也 | 試乗地:フランス・パリ周辺 |
| 撮影:ジャガー・ランドローバー・ジャパン | 天候:晴れ |
過去を踏まえての未来派デザイン。
デザインを担当したカラム氏、はアストンマーティンでヴァンキッシュやDB7を世に送り込んだことで知られる。要するに現代アストンの礎を築いた人物だ。
それじゃ、ジャガーもアストン風になったのかといえばそうではない。新型XJを細かく見れば見る程、その随所に歴代ジャガーの痕跡を見ることができる。センター部分が膨らむボンネット、時代に反する細身のピラー、外側に反るドアトリムの形状、メーターやアナログ時計の位置など、ひとつひとつがその血統の証だ。
デザインのプレゼンテーションではこうもいっている。「歴代モデルのようにフロントのオーバーハングを短く見せ、リアのオーバーハングを長く見せる工夫も行なった」、と。そして彼は、「未来をデザインするには過去を知らなければならない」とも明言した。そのとき、カラム氏が最初にデザインした現行XKのドライビングポジションが、XJSに似ていたことを思い出した。
こうしたデザインコンシャスなクルマに仕上げられたことは、技術の進歩が関係する。10年間培ってきたアルミ加工技術が、複雑なデザインの第三世代アルミフレーム構造を実現させたのである。
最先端技術満載のコクピット。
XJのボディタイプは2種類ある。スタンダードホイールベースとそれを125mm延長したロングホイールベースだ。違いはリアドアのサイズだけで、不思議なことにほとんどシルエットが変わらない。
ただ、リアシートに座るとその恩恵は格段で、足下はリムジン並みに広い。試乗ではショーファードリブンを体験するメニューとしてリアシートの移動もあったが、それも彼らの自信の現れだろう。
コクピットはどうかというと、ここにはジャガー&ランドローバーグループの最先端技術が満載されていた。メーターは高解像度モニターの液晶となり、メニューボタンで設定をそこで行なう。これはすでにレンジローバーに搭載されている装備で、XJではエンジンスタート前にジャガーマークが表示されるのが特徴だ。
センターコンソールにドライブセレクターやダイナミックモードなどのスイッチが納まるのはXF同様。ここら辺はもはやジャガーの定番アイテムとなる。
ただ、残念はところがないわけでもない。XFではまるで心臓の鼓動のように点滅していたスターターボタンが、XJはなぜか光らなかった……。
NAでも十分すぎるパワー。
エンジンのラインナップは、日本導入未定の3リッターV6ディーゼルとお馴染み5リッターV8/同+スーパーチャージャー。最高出力はNAで385ps、スーパーチャージドで510psという設定で、この数値はXFシリーズと変わらない。
ところが、グレード名はこれまでと少々ことなる。というのも、トップエンドはXJRではなく、スーパースポーツという名称だからだ。その理由は明確ではないが、今年がジャガーSS(スーパースポーツの略)誕生から75周年ということと関連すると思われる。新たな出発に伝統的な名前を取り入れたのではないだろうか。
そのパフォーマンスだが、まずNAはもはやスーパーチャージャーはいらないと思わせる走りを見せる。絶対的なパワーも十分で、トップスピードまでグイグイ加速していく。また、路面にはり付いたようなしなやかなサスペンションのセッティングはさすがで、乗り心地も上々であった。
シフトセレクターを“S”にすると、ステアリング上のパドルシフトでカチカチと瞬時にギアチェンジできる。熟成したZF製ギアボックスは、デュアルクラッチの必要性を感じさせない。
ハイブリッド車も視野に。
5リッターのハイパフォーマンスユニットがクローズアップされるXJだが、前述したようにディーゼルエンジンをラインナップする他、ハイブリッドシステムの導入なども視野に入っている。エンジニアによれば、公的研究機関との共同研究で実用域に達してはいるが、プライスの設定でまだまだ問題はあるという。たとえ優れた技術であっても、あまりにも高額では意味がないという考えだ。
小さいエンジンを小さいバッテリーで走らす、レンジ・エクステンデッドEVにも着手している。となると、ジャガー&ランドローバーも近未来エコカー化することは間違いない。
ともあれ、新型XJはデカイ排気量の内燃機関で登場した。オーバー500psはライバルと戦うにも十分すぎる内容だ。そこで、関係者に想定するライバルを訊くと、パナメーラやクアトロポルテという名前が出てきた。なるほどかなりのいい勝負である。ドイツ、イタリア、英国の一騎打ち。果たして軍配はどこに上がるのか? この戦いはしばらく目が離せない。
ジャガーコール 0120-050-689
http://www.jaguar.com/jp/ja/home.htm
主要諸元 SPEC DATA
| グレード名 | ポートフォリオ ロングホイールベース |
| 全長×全幅×全高(mm) | 5247 x 1894 x 1448 |
| ホイールベース(mm) | 3157 |
| トレッド 前/後(mm) | 0/0 |
| 車両重量(kg) | 2390 |
| 種類 | V8DOHC |
| 総排気量(cc) | 4999 |
| 最高出力(kw[ps] / rpm) | 375(510)/6000-6500 |
| 最大トルク(Nm[kgm] / rpm) | 625(63.7)/2500-5500 |
| 駆動方式 | FR |
| トランスミッション | 6速AT |
| サスペンション 前 | ダブルウィッシュボーン |
| サスペンション 後 | マルチリンク |
| ブレーキ 前/後 | Vディスク/Vディスク |
| タイヤサイズ | 245/40ZR20 (前)・ 275/35ZR20(後) |
| 車両価格(税込み・単位=万円) | 1600.0(日本仕様) |

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