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ActiveHybrid X6
2010-03-04

採点表

9
動力性能
さすがは「世界最強のハイブリッド車」と納得。
7
操縦安定性
ガソリン車に対する重量増は気になる部分。
6
パッケージング
日本でマイナス要素の巨大なサイズ。
7
安全性能
巨大さと重さは、“衝突相手”にはマイナス要因。
7
環境性能
ガソリン車に対する燃費向上分は、今回20%止まり。
7
総合評価
ハイブリッドシステムの完成度は予想と期待以上。

BMWのこだわりを全面に出したハイブリッド車。

 ハイブリッドと言えば、今やイコール“エコカー”の代名詞。けれども、「ウチのはそれだけでは無いんだヨ」と、日本の常識とは異なるアプローチで仕掛けて来たのがBMW発のこのモデルだ。 何しろその開発の目標は、ズバリ「世界最強のハイブリッドモデル」という。どんなモデルでも他の追随を許さない“走り”の良さをアピールして来たのがBMWの作品。それだけに、どれほど燃費性能に優れても、それが走りの性能に我慢を強いるクルマであれば、例えハイブリッドモデルでも許されない、といういかにもBMWらしいアピールが、そこには込められている。 ちなみにX6にハイブリッドシステムが設定され、X5に用意されなかったのは、「X5の場合、環境対応のソリューションにはディーゼル・エンジンがあるから」という。よりSUV風味の強いX5にはディーゼルを設定し、“SAC”(スポーツ・アクティビティ・クーペ)を謳うX6はハイブリッドという、棲み分け戦略なのだ。

試乗データ
レポート日:2010-03-04試乗日:2009-11-22
レポート:河村康彦試乗地:米国・フロリダ周辺
撮影:BMW天候:晴れ

スタイリッシュなフォルムながら居住性は十分。

 高い地上高に大径タイヤを組み合わせるというSUV流儀のロワボディを採用しつつ、そこにアーチ型のルーフラインを特徴とする4ドアクーペ調のアッパーボディをドッキングというのが、X6ならではのユニークなプロポーション。ルーフは頂点からボディ、リアエンドに向けてなだらかに下降するため、一見すると後席でのヘッドスペースが不足しているように思える。 が、実際は大人がゆとりを持って長時間過ごす事が出来る。そもそもが大柄なボディなので、スタイリングで多少“遊んだ”でも、居住性に余裕が残るのだ。 それにしても“小山”のように大きなボディは、スポイラー状につままれたテールエンドの位置も高く、リアビューのボリューム感は迫力満点。ただし、このモデルのパッケージが日本の環境に相応しいとはとても思えない。 一方、何事にもスケールの大きいアメリカの風景の中では、「ごく当たり前の大きさ」に見えるのも事実だ。そんな双方の市場で商売をやらなければならないのは、さぞや大変であろうと同情もしたくなる。


GM、メルセデスと共同開発のハイブリッドシステム。

 冒頭で紹介したように、このモデルが狙うのは「世界最強のハイブリッド・モデル」。それを踏まえ、2基のモーターと3組の遊星歯車から構成されるGM/メルセデスを加えた3社共同開発によるハイブリッドシステムは、407ps/600Nmを発するツインターボ付きの強力な4.4リッター・ガソリンエンジンに組み合わされる。このV8気筒エンジンは、すでに『50i』グレードに搭載されていたもの。すなわち、これまでのX6のトップモデルに対しさらに“モーターパワー”を上乗せしたのが、このハイブリッドモデルの心臓部というわけだ。 結果、双方を合計したシステム出力は、実に485ps(!)。そのため、動力性能は当然「すこぶる付きの強力さ」で、特に高速道路への流入時などにはエンジンパワーにモーターパワーがブースター的に上乗せさ、力強い加速感を大いに実感させられる。 また、モーターパワーのみで、最大12.5kmの距離を最高60km/hの速度で走行ができ、欧州での一般的な速度制限50km/hの市街路を、エンジンを始動させる事なく通過することができる。


ベース車と変わらない平地での走行フィーリング。

 アメリカ・マイアミを基点に開催された国際試乗会では、テストルートは市街地やフリーウェイを主体に設定。そのため、ツイスティなコースでのチェックを行なう事は不可能だった。ルート上の起伏も殆ど平坦だ。 実は、このモデルはハイブリッドステムの搭載で、ベースとなった『50i』グレード比で車両重量が260kgほど増している。また、X6の売り物であった後輪のヨーコントロール・システム“ダイナミック・パフォーマンス・コントロール”も、駆動バッテリー搭載によるスペース上の制約から搭載が見送られている。 このあたりが、BMW車ならではのフットワーク・テイストに与える影響が気になるところだが、前出の事情によりそれを詳しくチェックする事はかなわなかった。 ただ、街中やフリーウェイをクルージングする限りでは、従来のX6の印象から大きく変わらなかった。重量ハンディキャップを抱えるにもかかわらず、乗り心地面への影響は認められなかったし、電動化をされたパワーステアリングが生み出すフィーリングも“BMWクオリティ”に相応しいものだった。


うかうかしていられない日本のハイブリッド車。

 すでに丸13年以上となるトヨタのハイブリッド車づくりの経験を筆頭に、「ハイブリッド車では日本が欧米メーカーを圧倒する」というのがこれまで語られて来た一般論だ。確かに現状でも、これほど様々なバリエーションのハイブリッド車をライナップする国は日本以外に無いし、それが“ごく当たり前の価格” で手に入れられるのも、今のところ日本に限られると言って良い。 しかし、このX6ハイブリッドの高い仕上がり具合を体験してしまうと、どうやら日本独走の時代に終止符が打たれつつあるように思えてならない。実は海外大手メーカーの多くもすでにハイブリッド車を手掛けるだけの技術、そして将来に向けての戦略を身に付けているのではないか? と考えられるからだ。 そうした中にあって、BMWが7シリーズに設定の1モーター方式のモデルを含め、「最強のハイブリッド」という戦略を打ち出して来た事は興味深い。常に “走り”を全面にアピールして来たブランドゆえのことだろう。

問い合わせ先

BMWカスタマー・センター 0120-55-3578
http://www.bmw.co.jp/

主要諸元 SPEC DATA

グレード名
全長×全幅×全高(mm)4877 x 1983 x 1697
ホイールベース(mm)2933
トレッド 前/後(mm)1644/1706
車両重量(kg)2450
種類V8
総排気量(cc)4395
最高出力(kw[ps] / rpm)300(407)/5500-6400
最大トルク(Nm[kgm] / rpm)600(61.2)/1750-4500
駆動方式4WD
トランスミッション7速AT
サスペンション 前 ダブルウィッシュボーン
サスペンション 後 4リンク
ブレーキ 前/後Vディスク/Vディスク
タイヤサイズ255/50R19
モータータイプ
バッテリータイプ
交流同期電動機(永久磁石式同期型モーター)
ニッケル水素バッテリー
車両価格(税込み・単位=万円)0.00