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A5スポーツバック
2010-01-25

採点表

8
動力性能
より洗練化された7速Sトロニックでスムーズな走り。
9
操縦安定性
きわめてセーフティマージンの高いハンドリング。
8
パッケージング
クーペフォルムながら余裕の室内。
9
安全性能
世界トップレベルの安全デバイスをフル装備。
8
環境性能
10・15モード燃費は12Km/Lと合格圏内。
8
総合評価
クーペ×セダン×ワゴン=スポーツバック。

第3のA5はクロスオーバーモデル。

 アウディA5スポーツバックは2ドアクーペ、カブリオレに続く第3のバリエーション。セダンの快適性、クーペのエレガンス性、ワゴンの機能性を高次元で融合させたとアウディはいう。
 4ドアセダンながらクーペを思わせるデザインは過去から内外のメーカーがチャレンジしてきたが、その多くは中途半端でパッとしなかった。
 しかし近年、ベンツがクーペ特化型4ドアモデルといえるCLSをデビューさせ、アメリカ市場で大きな成功を収めた。それがライバルメーカーを触発し、身内ではフォルクスワーゲンのパサートCCを生み、BMW5シリーズグランツーリスモ、ポルシェ・パナメーラの誕生にも影響を与えたといえなくもない。今後このジャンル(融合=クロスオーバー系)の成長はアリかもしれない。
 日本ではクーペに対するユーザーの情熱がほとんど失せてしまったのに対し、欧米のユーザーはクーペ、あるいはスポーツカーのフォルムに今も熱い憧憬を抱く。なんでかな…そんなことを考えつつA5スポーツバックの試乗会で実車と出合った。

試乗データ
レポート日:2010-01-25試乗日:2009-12-11
レポート:御田昌輝試乗地:神奈川県・箱根周辺
撮影:井上雅行天候:

アウディならではのバランスの取れたフォルム。

 A5スポーツバックの3サイズは全長4710mm、前幅1855mm、全高1390mm。セダンのA4に比べ全高が50mm低いこともあり、ワイド&ローのダイナミックなプロポーションを有するが、アウディらしいデザインの繊細さと高度な作り込みが各所にちりばめられている。
 フロントのシングルフレームグリルやスリムなヘッドヘッドライト、バンパー両端に組み込まれたフォグランプなど、強い存在感の中にもどこかエレガントさが漂い自己主張する。
 サイドビューはスリムなサイドウインドーとボディパネルのエッジとオウトツが効いてスキのない筋肉質な造型。ベースとなった2ドアのA5よりバランスがとれていて、はるかにカッコいい。
 スポーツバックで気になるのは居住性だが、フロント、リアシート座面位置を下げたことでA4セダンとほぼ同じ居住空間を確保した。レッグルームとショルダールームの広さはA5を上回る。
 ラゲッジルームの容量は480Lで、これはA4アヴァントと対等。リアゲートを開きリアシートを倒すと980Lまで拡大するから積載性は十分だ。


リファインでより使いやすくなった7速Sトロニック。

 日本に導入されたA5スポーツバックに搭載されるパワーユニットは2.0TFSIの1種類のみ。高効率がセールスポイントの最先端のガソリン直噴ターボエンジンで、すでに130万ユニットの販売実績を誇る。
 最高出力は155kW(211ps)、そして自然吸気の3.5Lに相当する350Nm(35.7kgm)という大トルクを1500回転から4200回転までの広範囲で素早く立ち上げる。その恩恵で高速道路や、箱根の急勾配山岳路もスイスイ余裕で走れる。この動力性能は十分以上で、V6の3.2FSI(自然吸気エンジン)と比べても遜色がない。
 またアウディ家宝のトランスミッション、7速Sトロニックは制御が微妙にリファインされ、ストップ&ゴーの微速前進や後退時のクラッチのつながり方が初期型のそれよりもスムーズになった。通常のトルクコンバータ式ATに近い感覚になったのは、渋滞路を走る機会の多い日本のユーザーにとって歓迎すべきことだろう。
 メーカーのデータによれば、0-100km/h加速タイムが6.6秒、最高巡航速度は241km/h。2Lエンジンでこのスペックは立派だ。


熟成度の高い操縦安定性を堪能。

 A5からスタートし、その後すぐA4に投入されたエンジン縦置きモジュラープラットフォームは、ライバルメーカーを驚かせた。それはフロントアクスル(前車軸)をグンと前方に移動させるため、エンジンの直後にフロントデファレンシャルギアを、その後ろにSトロニックのクラッチ・トランスミッションを配置するという革新的な技術だった。
 同時にバッテリーをリアラゲッジに移設することで、フロントミッドシップともいうべきレイアウトにし、前後の重量配分がドラスティックに変更された。それによってもたらされる操縦安定性のメリットは絶大といってさしつかえない。
 搭載される新世代クワトロシステムは、通常は前40/後60%のトルク配分だが、状況に応じて前60/後40%から前20/後80%の範囲で作動するので、違和感のないごく自然な感じの4WD車に仕上がっている。
 ステアリングホイールの操舵感、サスペンションの動き、大容量のブレーキなどどれもが精密で第一級。オプションのS-Lineパッケージ車は、quattro社製の専用サスペンションが装着されるが、ゴツゴツせず乗り心地は思いのほかよかった。


アウディ躍進のエッセンスが凝縮。

 どんな自動車メーカーでも持てる技術力をフルに投入して新型車を開発、生産して顧客に提供する。それは当然のことなのだが、アウディはとりわけ「技術」に徹底したこだわりを見せる。
 マーケティングよりもエンジニアリング主導のメーカーともいえる。なにしろ「技術による前進」が社のスローガンなのだから。
 それゆえ時としてその迷宮に入り込んでいるような時代もあった。しかし今、輸入車が大きく落ち込む日本のマーケットの中でアウディは前年比をわずかだが上回る販売実績(1万60171台・2009年度)を達成した。その理由は他メーカーと一味違う高い技術力とクォリティを理解するユーザーが増えたことと、デザイン力の勝利であろう。  近年のアウディは実に洗練されていると思う。今回のA5スポーツバックは正確には4ドアクーペではなく、リアゲートがあるから実は5ドアクーペである。そして単なるデザインコンシャスなバリエーションモデルではなく、中身がギュッと詰まった、1台で3役をこなす実用的な多機能車なのだ。

問い合わせ先

アウディ コミュニケーションセンター 0120-598106
http://www.audi.co.jp/

主要諸元 SPEC DATA

グレード名
全長×全幅×全高(mm)4710 x 1855 x 1390
ホイールベース(mm)2810
トレッド 前/後(mm)1590/1575
車両重量(kg)1710
種類直4DOHC
総排気量(cc)1984
最高出力(kw[ps] / rpm)155(211)/
最大トルク(Nm[kgm] / rpm)350(36)/
駆動方式4WD
トランスミッション7速Sトロニック
サスペンション 前 5リンク
サスペンション 後 トラペゾイタル
ブレーキ 前/後Vディスク/ディスク
タイヤサイズ245/40R18
車両価格(税込み・単位=万円)575.00