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フーガ 370GT TypeS
2010-01-08

採点表

7
動力性能
3.7Lのトルク感は圧倒的。ただし洗練度は今一つ。
7
操縦安定性
クラス随一の切れ味。乗り心地もまずまず。
7
パッケージング
従来通り十分な広さ。インテリアの質感向上も果たした。
8
安全性能
ドライバーをサポートするシステムが充実。
8
環境性能
燃費改善への努力が伺える。
7
総合評価
洗練されたがあいかわらずスポーティ。

本年秋にはハイブリッド車も登場。

 初代フーガは、それまで40年以上にわたって親しまれてきたセドリック/グロリアの後継車種として2004年に発売された。ユーザー層の高齢化に歯止めをかけるべく、若い世代にアピールするスポーティなラグジュアリーセダンとしてイメージチェンジを図ったというわけだ。
 今回フルモデルチェンジを受けた2代目はあいかわらずスポーティではあるが、「走・美・快」という新たなコンセプトを打ち出している。初代モデルはスポーティで速さが気持ちいいものの、乗り心地が粗いという声があったが、快適性を高めてこれを払拭。また、艶やかなデザインでプレミアム性を高めてきた。
 エンジンは2.5Lと3.7Lの2種類でともにV6。先代にあったV8はラインアップされていない。パフォーマンスアップもなされているが、燃費改善にも力が注がれており、2.5Lはエコカー減税対象車。3.7Lも旧3.5Lより良好な燃費性能となっている。なお、2009年の東京モーターショーに出展されたハイブリッド・モデルは今年(2010年)秋に発売される予定。

試乗データ
レポート日:2010-01-08試乗日:2009-12-09
レポート:石井昌道試乗地:神奈川県・横浜周辺
撮影:安西英樹天候:晴れ

より上質感を増した内外装。

 新型フーガのボディサイズは先代に比べて全長が15mm、全幅が40mm拡大され、全高は10mm低くなった。ワイド&ローでスポーティになったわけだが、さらにAピラーをグッと後退させてロングノーズを強調し、伸びやかなフォルムとなっている。全幅の拡大分は抑揚のある面構成に生かされ、有機的で躍動感あふれるエクステリアとなった。先代でも19インチの大径タイヤが特徴的だったが、新型はさらに大きな20インチを採用(370Type S)。標準は18インチとなっている。
 インテリアも各部の質感の向上に力を入れるとともに、柔らかな触感のセミアニリンレザーや、銀粉をコーティングした本木目など素材にも凝ったプレミアムインテリアパッケージを用意。強豪が揃う輸入車ブランドのユーザーにもアピールしうる内容とされている。室内空間は先代とほぼ同等ながら、競合他車と比較するとほとんどの寸法で上回っており、広さはトップクラス。たっぷりとしたサイズで高減衰ウレタンを採用したシートの座り心地もよく、快適にすごせる室内となっている。


高級さをエンジョイするなら3.7L車。

 先代の3.5Lエンジンにかえて搭載された3.7Lは、排気量の拡大にくわえてVVEL(バルブ作動角・リフト量連続可変システム)を採用しており、 2400から7000rpmで最大トルクの90%を発揮するフラットトルク特性。そのため、わずかなアクセル開度でも自在に速度をコントロールできる扱いやすさがある。それでいながら吹き上がりもシャープ。7速ATのロックアップ領域が広いこともあって、ダイレクト感に満ちた加速を堪能することができる。ただし、アクセルを強めに踏み込んでいるときは振動や騒音がそれなりに高まっていく。これをスポーティと捉えるか、耳障りと感じるかは乗り手の好み次第だろう。
 2.5Lエンジンも動力性能は十分。車両価格や燃費などのバランスを考えればオススメだが、そこそこ飛ばすぐらいでも高回転を多用することになるのが煩わしいかもしれない。絶対的な速さだけではなく、高級車らしい余裕を堪能できるのはやはり3.7Lのほうだ。


熟成度の高い乗り味を実現。

 FMパッケージ・プラットフォームはスカイラインやフェアレディZなどでも用いられているが、多くの経験を積んでいるだけにこなれてきた印象がある。もともと定評があった運動性能の高さにくわえ、乗り心地も大いに改善されたのだ。
 18インチ・モデルは低速域でもゴツゴツ感が抑えられており快適。20インチも、タイヤそのものは硬いはずなのだが、低速でソフト、高速でハードに可変するダブルピストン・ショックアブソーバーの恩恵で、角のとれた乗り心地を実現している。
 だが、最大の見せ場は切れ味のいいハンドリングだ。とくに20インチはスポーティ。ステアリングを切りはじめると、あまりロールせずにグッと向きをかえていく感覚が強い。また、コーナリング中にギャップに遭遇してもサスペンションが正確かつスムーズに動き、挙動が安定している。リア・サスペンションに施された改良が質の高い動きに繋がっているのだ。ただし、荒れた路面などではタイヤ&ホイールの大きさを意識させられることもある。そういった点を含めて考えれば、バランスがいいのは18インチのほうだろう。


ドライバーも乗員も納得の1台。

 乗り心地が良くなったとはいえ、ふんわりとした癒し系ではなく、硬質だが不快さを極力抑えているというレベルであって、あいかわらずスポーティなフーガ。運転が大好きなお父さんを満足させつつ、家族から文句を言われないよう配慮したといったところだ。とくに後席での突き上げ感が減ったことは歓迎できるだろう。
 リラックス効果の高いアロマディフューザーやゆらぎ風によって気持ちいい森の空間を演出するフォレストエアコンも同乗者をもてなすのに一役買う。
 さらに、ドライブモードセレクターによってキャラクターがかわることも興味深い。エンジンやトランスミッションの特性が、標準、SPORT、ECOと3 モードに切り替わるのだが、とくにECOを使っていると燃費がよくなるのはもちろん、自然とG変動の少ない穏やかな運転になるので同乗者は快適なはずだ。
 技術の進歩を燃費改善や快適性向上といった現代的な方向に振り向けた新型フーガ。だがプライオリティNo.1はやはりドライビングプレジャーにある。洗練されたが根幹は揺らいでいないのだ。

問い合わせ先

日産自動車(株)お客様相談室 0120-315-232
http://www.nissan.co.jp/

主要諸元 SPEC DATA

グレード名
全長×全幅×全高(mm)4945 x 1845 x 1500
ホイールベース(mm)2900
トレッド 前/後(mm)1575/1570
車両重量(kg)1750
種類V6DOHC
総排気量(cc)3696
最高出力(kw[ps] / rpm)245(333)/7000
最大トルク(Nm[kgm] / rpm)363(37)/5200
駆動方式FR
トランスミッション
サスペンション 前 ダブルウィッシュボーン
サスペンション 後 マルチリンク
ブレーキ 前/後Vディスク/Vディスク
タイヤサイズ245/40R20
車両価格(税込み・単位=万円)492.50